vol48: V2Xの言葉たち2: 車との通信相手は??

V2Xは、vechicle to everything の略だが、everything にはどんなものがあるか?具体
的に見ていこう。

https://media.bnextmedia.com.tw/image/album/2016-11/img-1478252668-32044.jpg
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V2VとV2Iが先行して、開発が進んでいる。 追って、V2NやV2Pといった位置付け。

V2V (Vehicle-to-vehicle)

  • 車vs車通信。車車間通信という
  • 大きく分けると2種類の用途で使用
    1. 死角での事故回避
      電波を利用して、死角から接近する車を検知し衝突を防ぐ。
    2. 後続車への情報通知
      • 道に障害物があった場合にそれを後続車に通知
        後続車が安全に障害物を避ける
      • レーダークルーズコントロール
        先行車両の情報を活用して適正な車間距離を保つ
      • 救急車などの緊急車両の接近を通知
      • 前方を走る路線バスから乗降客への注意を促す情報が通知
  • 問題点
    • V2Vは対応車両間での通信しかできないため、V2Vに対応した車が増えるまでは
      あまり効果は見込めない
  • その他
    • 2017/2にNHTSAが公開した規程案では、
      アメリカは2023年までに全新規車両のV2Vを義務化の方針
    • BSM (Basic Safety Message)
      • 基本安全メッセージ
      • 速度、ブレーキ状態、方向等のデータ
    • トヨタ自動車「ITS Connect」に、「車車間通信システム(CVSS:Connected Vehicles Support Systems)」として、V2V機能が実装されている

V2I (Vehicle-to-Infrastructure)

https://www.researchgate.net/publication/275220928/figure/fig2/AS:392645508648961@1470625392164/Representation-of-V2V-and-V2I-technologies-a-V2V-communication-b-V2I-communication.png
画像出典

  • 車vsインフラ。路車間通信
  • 自動車と路上設備で通信を行う
  • ITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)の一つ
    道路沿いなどに敷設された通信装置(路側機)と、走行する自動車に搭載された車載器
    との間で行われる狭い範囲(数m~30m程度)を対象とする無線通信を指す
    信号機との通信で、「青信号まであと何秒」といった情報の取得もV2Iの一例だ。
  • 現在の代表例は、ETC(自動料金徴収システム)
    • 通信方式として、5.8GHz 帯域のDSRCを使用
    • ETCは高速道路料金支払として、サービスが開始されたが、
      2009頃から「DSRCサービス」として、ETCに加えて情報提供サービスを始めた。
      2014/10より「DSRCサービス」から「ETC2.0」へと改名

V2N (Vehicle-to-network)

  • 車vsクラウドの通信
  • 地図情報の生成、更新、各種情報の配信、遠隔操作
    クラウドからの音楽や動画のストリーミング
  • 携帯のネットワーク(LTEや5G)を使う

V2P (Vehicle-to-Pedestrian)/V2D (Vehicle-to-device)

http://quartsoft.com/sites/default/files/honda-v2v-v2p.jpg
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  • 歩車間通信
  • 歩行者のスマートフォンを活用し、自動車を運転する人と、その前を通る歩行者に、 両者の存在を警告し、安全確保を行う
  • GPSを使った位置情報の取得や、高齢者など弱者情報の取得、あるいは走行している自 転車の速度や進行情報・位置情報なども対象になる。プライバシーの問題にも配慮が必 要。

前述のV2V, V2I, V2N, V2P/V2D が基本だが、これらを拡張して、V2G, V2H, V2L といっ
た言葉も出てきている。 これらの言葉は通信というよりも、車からの電力供給のためのもの。
電気自動車を「乗り物」としてだけではなく、電力の需要と供給のバランスを助ける「イ
ンフラ」として活用する考え方。

http://www.cev-pc.or.jp/images2/newest/charge/img_18.png 画像出典

V2G (Vehicle-to-grid)

  • 電力網を対象
  • 電気自動車を移動手段として使わない時に,車に搭載された大容量の蓄電池を電力貯蔵
    設備として利用する。スマートグリッドに電気自動車を接続することで、電気自動車に
    蓄積した電力をほかの場所でも使えるようになる。

V2H (Vehicle-to-home)

  • 電気自動車に搭載された蓄電池のエネルギーを宅内で利用する
    停電時や電力が足りない時に家庭に供給

V2L (Vehicle-to-Live)

  • 電気自動車から家電(電気製品)

なるほど。数年前はV2VかV2Iくらいしか言葉を聞かなかったけど、今はこんなに言葉が増 えているのか。